事故と原因の記録
PowerShellで日本語ファイルを丸ごと壊した|Windowsで1行だけ直すつもりが全損する経路
定数をひとつ書き換えるだけのつもりで Get-Content | Set-Content を通したら、ファイル全体が文字化けしました。壊れたのは書き込みではなく読み込みの側です。Windowsで運用しているとこの手の穴がいくつかあります。
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何が起きたか
やろうとしたのは、UTF-8で書かれた日本語混じりのソースの中の、数値をひとつ変えることでした。書いたのはこういう処理です。
(Get-Content site.js) -replace 'VERSION = 12', 'VERSION = 13' | Set-Content site.js
実行すると数値は確かに変わります。ただし日本語の部分が全部壊れます。1行だけ直すつもりが、ファイル全体が読めなくなります。
原因は Set-Content 側だと思われがちですが、実際には Get-Content の時点で壊れています。エンコーディングを指定しないと、環境によってはシステムのANSIコードページとして読み込まれ、UTF-8のバイト列が別の文字に化けます。その化けた文字列を書き戻すので、元には戻せません。
さらに Set-Content 側も、既定の出力エンコーディングが Out-File と違うことがあります。読み書きの両方に地雷があるということです。
対処:ソースの書き換えにシェルを使わない
いろいろ試しましたが、いちばん確実なのはシェルでソースを書き換えないことでした。
Claude Code には文字列を置換する専用のツールがあり、そちらはファイルのエンコーディングを保ったまま書き換えます。定数ひとつの変更でも、そちらを使うようにしています。「1文字だから」と -replace を通した回が、いちばん被害が大きくなります。
どうしてもスクリプトから書き換える必要があるときは、PowerShellではなくNode.jsで書いています。
const fs = require('fs');
const s = fs.readFileSync('site.js', 'utf8'); // 明示的に utf8
fs.writeFileSync('site.js', s.replace('VERSION = 12', 'VERSION = 13'), 'utf8');
読み書きの両方でエンコーディングを明示していれば化けません。日本語を含む検証スクリプトも .ps1 ではなく .js で書くようにしています。出力に日本語が混ざるだけで、コンソールの表示が崩れることがあるためです。
Git Bash がパスを書き換える
Windowsではもうひとつ、パスに関する落とし穴があります。Git Bash(MSYS2系のシェル)は、コマンドの引数がスラッシュで始まるUNIX風のパスに見えると、Windowsのパスに変換してから渡します。
これが問題になるのは、リモートサーバー上のパスを引数に渡すときです。たとえばFTPの操作スクリプトに /domains/example.jp/public_html/ を渡したいのに、途中で C:/Program Files/Git/domains/... のような文字列に化けます。
エラーにならないのが厄介なところで、「そのパスは存在しません」という、一見もっともらしい失敗になります。対処は単純で、リモートの絶対パスを引数に渡すときはPowerShellから実行することにしました。
# これは化ける可能性がある(Git Bash)
node ftp.js /domains/example.jp/public_html/index.html
# PowerShell から実行する
node ftp.js /domains/example.jp/public_html/index.html
見た目は同じコマンドですが、通すシェルで結果が変わります。
node -e をダブルクォートで囲むと中身が展開される
関連する事故をもうひとつ。bashから node -e にコードを渡すとき、ダブルクォートで囲むとシェルが先に中身を展開します。
# PHPのコードを流し込むつもりが、$data がシェルに食われて空になる
node -e "fs.writeFileSync('a.php', '<?php echo $data; ?>')"
生成されたPHPは echo ; になり、構文エラーで500を返します。シングルクォートで囲むか、そもそもコードは -e ではなくファイルに書いて実行するほうが安全です。1行で済ませようとして壊した回が何度かあります。
node の dns モジュールが通らない環境がある
DNSレコードの設定確認を自動化しようとして、Node.js の dns モジュールで引いたところ、設定済みのレコードが全て「なし」と返ってきました。
原因はレコード側ではなく、環境からUDPの53番ポートが出られなかったことです。dns.resolveMx() などは黙って空を返すので、「MXが設定されていない」という誤った結論になります。これもエラーにならずに間違った答えを返すタイプの失敗です。
対処は、OSのDNSクライアントを子プロセスで呼ぶことにしました。
const { execFileSync } = require('child_process');
const out = execFileSync('nslookup', ['-type=MX', 'example.jp'], { encoding: 'utf8' });
こちらは通ります。「ライブラリが空を返したら、まず経路を疑う」というのが、この件から得た教訓です。
Windowsで運用するときのまとめ
| やりたいこと | 避けること | 使うもの |
|---|---|---|
| 日本語ソースの書き換え | Get-Content|Set-Content | 編集用ツール、または fs で utf8 明示 |
| リモート絶対パスを引数に渡す | Git Bash | PowerShell |
| 短いコードの実行 | node -e "..." | ファイルに書いて実行 |
| DNSレコードの確認 | dns モジュール | nslookup を子プロセスで |
| 日本語を出す検証スクリプト | .ps1 | .js |
共通しているのは、どれもエラーを出さずに間違った結果を返すことです。だから「動いた」だけでは確認になりません。書き換えたファイルは中身を読み直す、DNSは別の手段でも引く、といった二重の確認が要ります。
よくある質問
PowerShellでエンコーディングを指定すれば使えますか?
読み込みと書き込みの両方で明示すれば動きます。ただしバージョンによって既定が違い、環境が変わると再発します。壊れたときの被害がファイル全体なので、そもそも別の手段を使うほうを選びました。
壊れたファイルは戻せますか?
化けた文字列を書き戻しているので、元のバイト列は残っていません。バックアップか、本番サーバーからのダウンロードで戻すことになります。編集の前に退避を取る習慣があるかどうかで被害が変わります。
WSLを使えば解決しますか?
エンコーディングとパスの問題は減ります。ただしWindows側のファイルを触ると別の癖が出るので、置き換えれば済むという話でもありません。ここに書いたのはWindowsのまま運用した場合の話です。